常磐線舞台芸術祭 2023
鉄道関連プログラムのご紹介
今夏、初開催となる「常磐線舞台芸術祭 2023」は福島県を中心とした常磐線沿線を使用した芸術祭です。鉄道に関わるプログラムも多数ラインアップしています。この芸術祭ならではの特色ある公演の数々をお楽しみください。
JR常磐線上り列車 ―マスク―
会場:Rain Theatre
8月1日(火)14:00 開演
8月2日(水)17:00 開演
3年ぶりの新作公演。「マスク」を通して描かれる現在する過去
「マスク」の舞台となるのは、JR 常磐線の車内。登場人物は、異なる時を生きる高校生たちである。2020年5月15日、新型コロナウイルスの緊急事態宣言が解除された翌日、感染症対策のためにマスクを着用して登校する高校生たち。2011年5月14日、放射線防護のためにマスクを着用し、避難先からサテライト校に通う高校生たち。
2011年3月10日、マスクを着用せずに下校する高校生たち。出来事は過去に編入される際に正負や善悪に振り分けられがちだが、過去の今を生きる人々もまた、現在の今を生きる私たちと同様に、これから何が起こるか全く知らされないまま未来を眼差していたのである。彼らと私たちは、同じ時に揺られて、同じ方向に進んでいる。『常磐線上り列車 -マスク- 』で描く時は、現在する過去である。
銀河鉄道の夜
会場:勿来市民会館
8月1日(火)14:00 開演
8月2日(水)17:00 開演
宇宙の果ての輝く星々と美しい友情で紡ぐ、いのちのファンタジー
「銀河ステーションー」
星祭りの夜、1 人寂しく夜空を見上げるジョバンニの耳に突如響く車掌の声。
親友カンパネルラと共に“本当の幸せ”を求めて様々な星座を旅し、2人の行き着く先は――。
本作は、宮沢賢治の名作『銀河鉄道の夜』を、フランスの子どもたちに届けるために平田オリザが戯曲化した、子ども向けの演劇作品である。
平田は、この舞台化に当たって、「友人の死を受け入れることで成長していく少年の物語」というシンプルな構成を取り、『銀河鉄道の夜』を力強く再生し、大好評を博した。
日本語版は、2011 年春のリーディング公演、2012 年春の初演後、東日本大震災の被災3県を含む、全国各地で上演を重ね、多くの子どもたちが劇場を訪れている。
ザ・レディオ・ミルキー・ウェイ
会場:新地町文化交流センター(観海ホール)
8月1日(火)18:00 開演
8月2日(水)13:00 開演
福島と岩手で今春放送されたラジオ・ドラマを、音楽も含めて舞台で再現
銀河ラジオ(ザ・レディオ・ミルキー・ウェイ)の人気 DJゴトウのもとに、ある夜ふしぎな投書が届けられた。ジョバンニという弟が行方不明なのだ、とその女性のボイスメールは訴える。はたしてジョバンニ少年はどこにいるのか? そしてジョバンニの親友・カムパネルラはどうなったのか? 純粋な子どもたちの想いを追って、銀河ラジオの報道員(レポーター)たちの冒険が始まる。「宮沢賢治さん、賢治さん、これがラジオです。これが銀河のラジオです」——今年3月に、ふくしまFMとエフエム岩手の共同特別番組としてオンエアされたラジオ朗読劇が、舞台上の新たな作品に。音楽もその場で再現し、劇場に銀河宇宙への「窓」を開く。
『阿房列車』
『思い出せない夢のいくつか』
会場:Rain Theatre
『阿房列車』
8月10日(木)15:00 開演、11日(金)19:00 開演、12日(土)15:00 開演
『思い出せない夢のいくつか』
8月10日(木)19:00 開演、11日(金)15:00 開演、12日(土)19:00 開演
『阿房列車』
平田オリザ初期の傑作短編戯曲、福島で復活
1991年、平田オリザが他劇団に書き下ろした最初の作品。内田百閒の名作『阿房列車』をベースに、中年の夫妻のあてどない旅の風景を描く初期平田オリザの傑作短編戯曲。目的もなく旅に出た二人は、列車の中で不思議な若い女と出会う。何か事件が起こるわけでもない日常の延長のような列車の旅のなか、諸相の向こうから様々な風景が浮かび上がってくる。
『思い出せない夢のいくつか』
星の数ほど生まれる思いは、衝突、爆発、死を繰り返す
これは大人のための『銀河鉄道の夜』
1994年に青年団プロデュース公演として渋谷のシードホール、横浜の相鉄本多劇場、伊丹の AI・HALL の3都市ツアーを敢行した作品。当時、第七病棟の緑魔子を客演に迎え、「唐十郎さんや石橋蓮司さんが少女のイメージで捉える緑魔子さんとは違う現在の彼女」を登場させて話題となった。宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』や『青森挽歌』、内田百閒の『阿房列車』、寺山修司の『コメット・イケヤ』などを題材にとり、3 人の男女の複雑に絡み合う想いを、行く先が定かでない曲がりくねった線路の上を走る列車に乗せて描く。